「2つの心」
【4】 生命現象
ところで、西洋は五感でわからないものは無いという仮定のもとにいろいろ調べてきたんですが、生命現象についてはついに少しもわからなかった。
人は生きている。だからいろんな生命現象がある。例えば、見ようと思えば見える。何故であるか。これに対して、医学は一言も答えられない。また、立とうと思えば立てる。この時全身四百いくつの筋肉が同時に統一的に働くから立てるのであるが、何故そういうことが出来るのか。これに対しても、医学は一言も答えることが出来ない。かように生命現象については全然わからないんですね。物質現象については、不安定な素粒子の存在という点において、非常な破綻を示しているし、生命現象については全くわからない。これが西洋の学問の現状なんです。
心には時間も空間もないから、勿論五感ではわからない。心というものの存在を西洋人は知らないんですね。認めようとしないんじゃない、知らないんです。ところで、人が一個の人として、知・情・意が別々に、ばらばらになってしまわないで、一個の統一を保っているのは心の働きです。また、本当にわかるというのも心の働きです。心理学や大脳生理学が対象としている自我中心の浅い心がいろいろな働きを持つのは、その奥にもっと深い心が働いているからいろんな知情意という働きが出てくるので、浅い心だけではそういう働きがないんです。
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