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2014.11.15up

岡潔講演録(12)


「人類自滅の危機」

【4】 数学道場

 いやあね、僕は数学道場、あそこで大学院のドクター・コース終って、それからまあ出て直ぐのもあるが、大体10年ぐらい経ったところ、それを教えてる。ところが道場あるって聞いて、数学勉強してみようって来た。で、大分(おおいた)だって言うから、大分の大学かったら、いや、浪人してる。アッハハ。これやから、かなわん! だけど維新の前ったら、そんな風だった。

 このねえ、大学出てから一人前の数学者作ろうと思ったら、物理10年という、数学15年かかる。で、ひと1人作るというのは大変なこと。新たに大学作るという時、一番得難いのは人なんです。ところが文部省はねえ、機械が一番高い、その次は建物、教授の如きは辞令1本と思ってる。それが大学問題を呼んだんです。辞令1本で教授になったら、こんなもんどうせ、悪い事しかせん。「小人閑居して不善をなす」ことの始まり。

(※解説4)

 浪人生が畏れもなく岡の数学道場の門をたたいたというおもしろい話だが、これによると岡の数学の世界がわかるためには大学卒業後、更に15年はかかるということになるのだろうか。私など高校の数学も途中でわからなくなってしまったくらいだから、その世界は私にとっては永久に未知のままということだろう。

 しかし、更に岡の晩年の思想となるとまた違った意味で一層の難しさがあり、「数学15年、思想20年」と私はいいたいくらいである。けれども、その思想においては却って数学のような専門的な知識はあまり要らないし、ましてや誰にでもわかる平易な日本語で語られているのだから、岡に対する尊敬の念と真理に向う謙虚な姿勢とがありさえすれば、人によってはスラスラとわかるような気もするのである。

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