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2013.11.30up

岡潔講演録(9)


「自然科学は間違っている」(3)

【5】 時の観念

人は時の中に住んでいる。時には現在、過去、未来の別がある。未来は分らない。希望も持てる。しかし不安も抱かざるを得ない。これが未来です。それが突如として現在に変わる。不思議だけどそうなる。そうすると一切が明らかになる。明らかにわからないまでも、明らめ得る筈のものになる。その代わり一切が動かし難くなる。そこで厳粛であるという感じが出る、人生が厳粛であるというのは、現在が厳粛だということです。ところが何時までもこの現在が続いたのでは息もつけない。所が不思議にこれがまた突如として過去に変る。そうすると一切が記憶としか思えなくなる。しかも、それが段々薄れて遠ざかって行く。これが時ですね。人が生きているというのは、時の中に住んでいるということでしょう。

(※解説7)

 「人は時間の中に住んでいるのではない。時の中に住んでいる。」と岡はいう。

 普段、人の言うことをよく聞いてみると、この全く性質も次元も違う「時」と「時間」というものを、大概の人は混同しているようです。しかし、人はまさしく「時」の中に住んでいるのです。それが証拠に、人は「未来」という「時」が決まってしまえば、その時点で「時間」は氷りついてしまうから。

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