「創造の視座」
【29】 東洋の天地創造①
昔、星雲がありました。この星雲が向上して太陽系になった。その太陽系に1惑星がある。この惑星が向上して地球になる。どういう意味かといえば、ある日この惑星の表面に1匹の単細胞生物が現われたという意味です。これ以後地球ですね。
この単細胞生物が向上して人になる。そして大脳の構造だけからいっても、午前にお話ししたようなそういう精妙な構造を持つようになる。この星雲からこちらの向上を考えてみますと、どうしても私たちの住んでいるこの場所に、この世界に一大意志力が働いているということを否定することはできません。確かに一大意志力が働いている。この一大意志力の主体を心という。
で、心があって、心とは一大意志力の主体です。心があって、そして一大意志力が働き続けている。一大意志力が働き続けている。その内容がだんだん姿にあらわれていく。姿には知の姿もあるが、情の姿もある。この姿には4つある。これを大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智という。この知、あるいは情の姿ですね。あるいは心にそういう姿あらしめるものを、これらの四智の名で呼ぶことがある。ともかく心があって一大意志力が働いている。
先づ、妙観察智が働く。そうすると意志の内容が姿にあらわれて、それまでただ1つの心であったのが、一面ただ1つであるということを失わないで、他面無量の心に別れる。無量の心の1つ1つは、一面1つであって、他面2つである。こういう無量の心ができる。
さらに平等性智が情的にあらわれて、それらの心が他の心を懐かしいと思うようになる。それで懐かしさというものができる。それに妙観察智が働く。そうすると、この懐かしさというものの内容が顕示されて、これがこう懐かしい、あれがああ懐かしいとなっていく。それで懐かしさという情緒の上に無量の情緒ができる。
次に大円鏡智が働く。そうすると、これらの無量の情緒が円融無碍の世界をつくる。かようにして情緒の世界ができました。意志力は絶えず働いている。だから、この世界の内容は次第に深まってゆく。こういうふうにして情緖の世界とその内容が深まるということができる。これが心のふるさとですね。
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