岡潔 「自然科学は間違っている」(2)の解説
「人間の建設」より
横山 賢二
はじめに
前回は「岡の大脳生理」という、どちらかというと理学系の解説をお伝えしましたが、その後もそれ以前に発表した「自然科学は間違っている」に皆さんの関心が高いように感じます。それで今回はその第2弾としまして、岡潔「自然科学は間違っている」(2)の解説をお伝えしようと思います。
特に2011年の東日本大震災(岡は2010年に日本の転換点がくると言い残している)以後、原子力や宇宙開発、はたまた歯止めの効かない環境問題や科学技術の暴走の問題など、今日までの人類の文明のあり方を一から問直す動きが人々の間に顕著になってきましたが、この岡の「自然科学批判」はその内容からして、それらの問題に基礎の基礎から回答を与える人類の文献としては唯一のものだと私は思うのです。
それで、岡の資料の中から自然科学に関するものを私なりに急遽拾い出してみました。先ず最初にいくつか挙げますのが、小林秀雄との対談「人間の建設」でして、その後も年代を追って順次ご紹介していきたいと思いますが、岡の「自然科学批判」の具体的で基本的な部分は、おおむねこの本の中で語られているといっても過言ではありません。
この「人間の建設」では今日までの科学的知識をベースにして、自然科学自体の限界と問題点を指摘してくれていまして、専門家の方々にも非常に新鮮で、しかも説得力のある内容ではないかと思います。
この私も若い頃からバイブルのようにして読んできましたし、今また再び多くの人々に読まれはじめているようです。そういうことで、先ずはこの「人間の建設」から入っていきたいと思います。
目 次(下の項目をクリックしてお読み下さい)
【
1】 ニュートン時間
【
2】 科学の破壊力
【
3】 時と時間
【
4】 数学と感情
【
5】 物理学の限界
【
6】 3つのキーワード
【
7】 科学の方向性
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