岡潔 「心そのもの、命そのもの」の解説(抜粋)
講演日 :1969年8月23日
於 宝塚ゼミナール館
横山 賢二
はじめに
この1969年という年は、岡がフランスへ留学して初めて西洋に接した年から数えて40年の歳月を経て、原理「2つの心」にやっと辿りついた記念すべき年であるが、それはこの「2つの心」によって20世紀までの人類の持つ文化文明が岡潔という1人の人物の中で整理統合されようとする時であり、あらゆる分野の数多くの問題が有機的複合的に解明されてゆく様は、学ぶものとすれば心の中のいわば雑然とした図書館が、見事に整理されていくように感じるのである。
10年程前に大ベストセラーとなった「国家の品格』の著者で、岡の熱烈なファンでもある数学者の藤原正彦は、その本の中で「真のエリート」の条件としてこういっている。
「文学、哲学、歴史、芸術、科学といった、何の役にも立たないような教養をたっぷりと身につけていること。そうした教養を背景として、庶民とは比較にならないような圧倒的な大局観や総合判断力を持っていること。そして「いざ」となれば国家、国民のために喜んで命を捨てる気概があること。」
私から見れば、これはまさに岡潔の真の姿である。この気概があればこそ、晩年いくら気狂いあつかいされても無視されつづけても、人類の未来のために我々にひたすら多くの言葉を残していかれたのである。そして残念なことに、それら多くの言葉はいまだに厚いベールに包まれているのである。
目 次(下の項目をクリックしてお読み下さい)
【1】 2つの心
【2】 念の経絡
【3】 国際紛争
【4】 西洋の慢性病
【5】 道元との対面
【6】 ロケットの限界
【7】 騎馬民族
【8】 文明の発祥地
【9】 インドと南洋の神
【10】 芭蕉の評価
【11】 袈裟と盛遠
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