岡潔 「1971年度京都産業大学講義録第11回」の解説
講演日 :1971年9月21日
横山 賢二
はじめに
この1971年第11回の講義は、先にあげた71年では最も重要だといった第16回講義と、取り上げる手順が相前後したことをここでお断りしておきたい。
この講義は71年では最も「重要」というよりは、むしろ最も「標準的」な内容のものであって、71年の岡の頭の中にある基本理念が概ねここに語られているといってもよいのである。
この71年という年は、岡が第10識「真情の世界」を発見する直前の年であるが、69年から3年の長きにわたって世界観「2つの心」を提唱してきた最終年ということになるのである。
この世界観「2つの心」は主に東洋と西洋を識別する原理を提供するものであるから、先ずはここから我々は今日の人類の諸問題を洗い直し、真新しい世界観を各人が岡にならって、1から組みあげ直していかなければならないのである。
猶、お伝えするのが遅くなって誠に恐縮だが、文中にある二重カッコは岡先生の黒板への板書である。これらの録音をとった青森出身の三上洋昭さんが、71年から77年までの全講義にわたって記録したものである。
目 次(下の項目をクリックしてお読み下さい)
【1】 「春雨の曲」第1稿
【2】 このからだ、この心
【3】 時間空間と視覚
【4】 不安定な素粒子
【5】 ラプラースの魔
【6】 からだの主宰性
【7】 不思議な赤ん坊
【8】 仏教の問題点
【9】 仏教よりも芭蕉の心
【10】 右の内耳
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